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平成30年度税制改正のポイント

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執筆者 NEXT CFO編集部
この記事は株式会社エスネットワークスが運営する、
NEXT CFO の記事を転載しております。
平成30年度税制改正のポイント
目次
  • 1. 法人税上の収益の認識等の措置
  • 2. 租税特別措置法の適用要件の見直し
  • 3. 組織再編税制の見直し
  • 4. 所得拡大促進税制の改正

この記事は2018年5月発行の REVOLVING DOOR vol.19より転載しております。

本年度の改正は、働き方の多様化を踏まえ、さまざまな形で働く人をあまねく応援する等の観点から個人所得課税の見直しが行われるとともに、デフレ脱却と経済再生に向け、賃上げ・生産性向上のための税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置が講じられています。 また、中小企業経営者の代替わりを促進する事業承継税制の拡充、海外展開促進と公平な競争条件の確保のための国際課税制度の見直しや、経済社会のICTの急速な進展に対応し国民の利便性や行政の効率化を高めるため、税務手続の電子化等の拡充を進めるような改正内容となっております。 本稿では、法人税の改正点を中心に解説いたします。
    

1. 法人税上の収益の認識等の措置

1.改正の概要

収益認識に関する会計基準(案)の公表を受けて、法人税における収益認識等について改正が行われます。

● 収益認識等について、収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化されます。
● 返品調整引当金制度及び延払基準(長期割賦販売等)が廃止となるとともに制度廃止に伴う経過措置が講じられます。

法人税における収益認識等の法令上の明確化

① 益金の額
資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供(以下、「資産の販売等」という。)に係る収益の額として所得の金額の計算上益金の額に算入する金額は、原則として、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡し時における価額又はその提供をした役務につき通常得るべき対価の額に相当する金額となります。
※ 貸倒れ又は買戻しの可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合の価額とし、値引き割戻しについては、客観的に見積もられた金額を収益の額から控除することができます。また、資産の販売等に係る収益の額を実質的な取引の単位に区分して計上することも可能です。

② 益金の計上時期
資産の販売等に係る収益の額は、原則として目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されます。

③ 一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従った経理をする場合
資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って上記②の日に近接する日の属する事業年度の収益の額として経理した場合には、上記②にかかわらず、当該資産の販売等に係る収益の額は、原則として当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されます。

2.今後の注目点

法人税法においては、収益認識等について法令上明確化される一方で、消費税法については大綱の記載が長期割賦販売等の延払基準の廃止のみの記載であるため、法人税と消費税の取扱いが異なるケースが出てくると想定されることから今後の取扱いが注目されます。

    

2. 租税特別措置法の適用要件の見直し

1.改正の概要

大企業(中小企業者等以外)が以下の要件にすべて該当する場合、その大企業にはその事業年度において研究開発税制など3 つの制度の適用が受けられません。
要件
①大企業の所得金額が前事業年度の所得金額を上回ること
②その大企業の平均給与等支給額が、前事業年度以下であること
③そ大企業の国内設備投資額が、当期の減価償却費の総額の1割以下であること

適用対象外となる税制
● 研究開発税制
● 地域未来投資促進税制
● 情報連携投資等の促進に係る税制(平成30 年度税制改正で創設)

2.実務上の留意点

●適用時期は平成30 年4 月1 日から平成33 年3 月31 日までの間に開始する事業年度です。
●平均給与等支給額の計算の基礎となる継続雇用者がいない場合には の要件は満たすものとされます。
●設備投資要件の減価償却費の総額には特別償却準備金として積立てた額が含まれます。
3.今後の注目点

①の所得計算方法については欠損金の繰越控除前の所得金額とするほか必要な調整を行うとされているため注意が必要です。

    

3. 組織再編税制の見直し

1.改正の概要

組織再編税制における適格要件のうち、

●従業者従事要件及び事業継続要件が緩和されます。
●スピンオフ実施の円滑化のための完全支配関係について、継続要件が見直されます。

組織再編税制における適格要件のうち、従業者従事要件及び事業継続要件が緩和されます

旧制度
組織再編成後、グループ内において従業者又は事業の移転が見込まれている場合、従業者従事要件及び事業継続要件を充足することができなかった。

改正点
当初の組織再編成の後に完全支配関係がある法人間で従業者又は事業を移転することが見込まれている場合にも、当初の組織再編成の適格要件のうち、従業者従事要件及び事業継続要件を充足することができる

組織再編税制の見直し

スピンオフ実施の円滑化のための完全支配関係について継続要件が見直されます

旧制度
組織再編成後に完全支配関係を有しない場合には、完全支配関係を有しないものとして、完全支配関係の継続要件を充足することができなかった。

改正点
完全支配関係がある法人間で行われる当初の組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件のうち完全支配関係の継続要件について、その適格株式分配の直前のときまでの関係により判定することとする。

組織再編税制の見直し
3.今後の注目点

今後はグループ全体で従業者継続要件、事業継続要件を考慮し、組織再編成を考えることができるため、より柔軟な組織再編成の設計が可能となります。なお、適用開始日については公表されていないので、適用にあたっては留意する必要があります。

    

4. 所得拡大促進税制の改正

1.改正の概要

青色申告法人が国内雇用者に給与等を支給する場合、以下の要件を満たすことで現行の所得拡大促進税制よりも高い割合の税額控除が認められます。また、教育訓練費及び人件費の投資を増加させた企業については、税額控除割合が上乗せされます。
所得拡大促進税制 ※1「雇用者給与等支給額」とは、国内雇用者(法人使用人(一定の者を除く)のうち国内の事務所等に勤務する雇用者)にする給与等の支給額をいいます。
※2「雇用者給与等支給額」とは、適用年度における給与等月別支給対象者の数の合計額(平均給与等支給額)をいいます。
※3「教育訓練費」とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための費用で次のものをいいます。
  (イ)法人が教育訓練等を自ら行う場合の外部講師謝金等の費用
  (ロ)他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の委託費
  (ハ)他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用
※4「比較教育訓練費の額」とは前期及び前々期の教育訓練費の額の平均額をいいます。

中小企業者等の所得拡大促進税制

● 適用要件について、賃金要件が簡素化され、投資要件は含まれません。
● 教育訓練費が一定以上増加した企業は税額控除割合が上乗せされます。

所得拡大促進税制 ※1「雇用者給与等支給額」とは、国内雇用者(法人の使用人(一定の者を除く)のうち国内の事業所に勤務する雇用者)に対する給与等の支給額をいいます。
※2 雇用者給与等支給額(一定の給与等を除く)を、適用事業年度における給与等月別支給対象者(一定の者を除く)の数の合計額で除した金額をいいます(平均給与等支給額)。
※3「教育訓練費」とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための費用で次のものをいいます。
  (イ)法人が教育訓練等を自ら行う場合の外部講師謝金等の費用
  (ロ)他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の委託費
  (ハ)他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用

「継続雇用者」の範囲の見直し

平均給与等支給額等の計算の基礎となる「継続雇用者」の範囲に見直しが行われます。大綱における「継続雇用者」は、「当期と前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定のもの」とされています。
現行の「継続雇用者」には、例えば“前期に中途入社した者” や“当期に退職した者” が含まれるが、改正後は、これらの者が「継続雇用者」の範囲から除かれます。
継続雇用者の範囲の見直し
2.実務上の留意点

●現行では設立事業年度でも適用できるが、改正案では対象外となります。
●継続雇用者がない場合、上記・賃金要件 の要件を満たさないものとします。
●「国内設備投資額」は、法人が当期において取得等をした国内にある減価償却資産の当期末において有するものの取得価額の合計額をいい、「減価償却費の総額」とは、その法人の有する減価償却資産につき当期の償却費として損金経理した金額をいいます。
●中小企業者等は、大企業の所得拡大促進税制の制度との選択適用が可能です。
3.今後の注目点

「教育訓練費」の具体的な内容及び範囲や継続雇用者の内容及び範囲について、注意が必要です。

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NEXT CFO編集部
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